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2008年度 第1回オホーツク実学市民公開講座が開催されました


開会式

2008年度 第1回目の市民公開講座は8月30日(土)に行われました。今回の市民公開講座のテーマは「地球温暖化と環オホーツク海圏漁業の将来を考える」と題して基調報告では温暖化の影響によってオホーツク海ではどのような影響が出ているのか、報告していただきました。また、今回のシンポジウムは北太平洋海洋科学機構(PICES)のメンバーでもあるロシアの科学者を招いて議論を行いました。
開会式あいさつでオホーツク実学センター長 黒瀧氏は、今後、環オホーツク海圏での環境共生を図っていくうえでも、ロシアの科学者をはじめ、多国間の研究協力を積極的に行う必要があり、本シンポジウムでは市民をも含めた情報の共有は有意義なシンポジウムになるのではないか、という開会のあいさつをしていただきました。また、網走支庁長の平塚氏も網走管内をはじめ、北海道とロシアなどのオホーツク海圏に面する国々との協力がより進めば喜ばしいことである、と述べていただきました。


オホーツク実学センター長
黒瀧 秀久


網走支庁長
平塚 努


基調報告

東京農業大学 アクアバイオ学科
柏井 誠
基調報告では「地球温暖化がオホーツク海とその海洋生態系・漁業に与える影響」と題して本校のアクアバイオ学科教授である柏井先生から問題提起をしていただきました。近年、地球温暖化の問題はメディアでも多く取り上げているが、オホーツク海に関連して取り上げられたことはほとんどないことだと思います。そういった意味では、地元住民のみならず漁業関係者の方々もほとんど知られていないことが多く、今回のシンポジウムは有意義なものであったと思います。


イリチェフ太平洋海洋学研究所副所長
ロバノフ博士


サハリン海洋学漁業研究所副所長
カンタコフ博士


まず、第1基調報告としてイリチェフ太平洋海洋学研究所副所長のロバノフ博士から「温暖化に伴うオホーツク海の変化」について報告していただきました。
 第2基調報告としてサハリン海洋学漁業研究所副所長のカンタコフ博士から「温暖化に伴う海と生態系の変化が漁業に及ぼす影響」について報告していただきました。


東京農業大学 客員教授
西浜雄二


北海道大学大学院水産科学研究科教授
岸 道朗


第3基調報告として本校の西浜教授より「温暖化にともなう夏季海水温の上昇がホタテガイ漁業の存続に及ぼす影響」について報告していただきました。
 第4基調報告として北海道大学大学院水産科学研究科教授の岸道朗氏から「温暖化が北方系漁業に及ぼす影響」について報告していただきました

パネルディスカッション

東京農業大学 アクアバイオ学科
谷口 旭
パネルディスカッションでは本校の谷口先生をコーディネーターに「オホーツク海の漁業が、地球温暖化に伴う過酷な変化を耐え抜くために、どのような科学研究が必要か?」と題し、温暖化に伴う数世紀にわたって進行する海・生態系・漁業資源の変動に、オホーツク海沿岸の漁業が存続していくために、どのような試験研究の課題があるのか。また、オホーツク海の環境と資源に生かされているオホーツク海周辺の日ロ住民はどのような連携協力が可能かについて議論されました。



網走漁業協同組合 常務理事
北村 吉雄


西網走漁業協同組合 常務理事
佐々木 昇


まず、網走漁協の北村氏は「海外漁業の現場から」近年の温暖化の影響による天候の変化によって漁業被害問題が起きているのではないかと問題提起を行い、研究への期待として海水温の変化によるプランクトンの変化、稚魚の生存率等生物的な研究による水産資源状況の把握について期待していると述べていただきました。                                         また、西網走漁協の佐々木氏は「内水面漁業の現場から」高水温によるホタテ稚貝斃死の懸念、プランクトンに対する影響などの課題から研究協力の必要性を訴えていただきました。


東京農業大学 アクアバイオ学科3年
鈴木 靖朗


東京農業大学 アクアバイオ学科准教授
千葉 晋


次いで、本校アクアバイオ学科3年の鈴木君の報告では、「オホーツク海漁業者の抱える問題」として、網走管内の漁協関連機関にアンケート調査を行った結果を報告していただきました。網走管内の漁業者は近年の天候の悪化によって漁具の破損が多く、コスト高となっています。また、地場生産に対してブランド化を図っていくことに関心が高く、今後道庁などと協力してPRしていくことが望まれると報告していただきました。                                      また、本校アクアバイオ学科の千葉先生は「適応進化から考える温暖化と地域漁業」を題材に最近の研究から、魚や植物などの変温生物は、たとえ同じ種であったとしても地域ごとの環境に適応進化していることが明らかとなりつつあり、このような視点から地球温暖化を予測し、実感できないのか、というおもしろい視点から報告していただきました。

東京農業大学 アクアバイオ学科講師
園田 武
最後に本校アクアバイオ学科の園田先生から「沿岸海跡湖、汽水域の環境と漁業」について報告していただきました。汽水は海水と陸水の間にあり、特にオホーツク海では地球上でも沿岸海跡湖が多く、この沿岸海跡湖は独特な生態系として学術的にも産業資源としても貴重といえます。近年の温暖化の影響によって海面が変化し、汽水域が消失・生成することが現れてきており、生態系は大きく変化してきています。このような変化を保護・保全するためにもサハリン州をはじめ、研究の協力を行っていくことが必要と述べていただきました。


全体ディスカッション
全体ディスカッションではこれまでの報告を元に、今後の温暖化による漁業への影響を含め、研究協力の必要性がより認識されることとなりました。また、研究協力は産学官を中心に越境広域していくことが望まれるとしました。ロシアの研究者は研究者同士で同じ会場に一同に集まり議論する機会も少なく、ましてや市民を含めたシンポジウムなどは少ないようです。そういった意味ではロシアの研究者達にもよい影響を与えるとともに非常に感心していただけました。

ありがとうございました。

ロシア語通訳の方々
今回は、逐次通訳を行いました。瞬時にロシア語から日本語へ、日本語からロシア語へ通訳してもらい一般市民の方々にも理解していただくためがんばっていただきました。通訳は、専門用語が増えるとなかなか難しいですが、長時間、流ちょうに訳していただきご苦労様でした。



会場の様子.1


会場の様子.2


 

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