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東京農業大学生物産業学部設立20周年記念・榎本武揚没後100周年シンポジウムを開催


実学創造の原点

 この度、東京農業大学生物産業学部は設立20周年を迎え、昨今の農業問題、食料問題などの困窮的な問題は今まで以上に解決されるべき社会問題として浮上しており、この意味においては本大学も節目と同時に新たな出発となって地域に貢献していける大学とならなければなりません。奇しくも東京農業大学の創設者である榎本武揚は没後100年という年月が経ち、今一度榎本武揚先生の思想を再検討し、今日的問題を問うのに、よい機会となりました。そして今回の収穫祭の時期(10月11日〜13日)に合わせて「実学創造の原点」というテーマのもと東京農大、榎本武揚、オホーツク地域をキーワードにシンポジウムを開催しました。
 また、この度のシンポジウムでは榎本武揚展も同時開催となり、多くの市民の方々に参加していただきました。


挨拶 横濱道成先生


挨拶 萱場利通氏


 まず、本大学の学部長である横濱先生より20周年の節目と今日的課題について本大学のあり方について挨拶をいただき、シンポジウムは開始されました。本大学は北海道に所縁がある榎本武揚先生の思想のもと、どのような思想にもとづいていたのかを再度検討し、今日においてはより地域に密着した大学連携を構想していかなければならないという考えを念頭とした場合、国内外を問わず、広域的な連携を行うために「オホーツク地域」の位置づけ(概念)が考えられなければいけないと述べていただきました。そして今回は、この概念を考えるのによい機会となったのではないかと思われます。
 また、来賓挨拶では榎本武揚没後100周年記念札幌実行委員会事務局長である萱場利通氏より今年度北海道を中心に活動している没後100周年記念にあたり、最後の開催地をオホーツクキャンパスで開催されることに対して大変有意義な機会となったと挨拶していただきました。

パネルディスカッション

コーディネーター 小松善雄先生
パネルディスカッションでは「榎本武揚とオホーツクキャンパスの実学創造と新たな飛躍に向けて」と題して榎本武揚先生は北海道という土地にどのような思想を描き、構想を持っていたのかを歴史的に検証し、現在の北海道には何が必要か検討することとなりました。今回のパネルディスカッションはコーディネーターに小松先生、パネラーに榎本武揚の曾孫にあたる榎本隆充先生、本大学の理事長である松田藤四郎先生、本大学のオホーツク実学センター長である黒瀧秀久先生、本大学のアクアバイオ学科長である伊藤雅夫先生を招いて行われました。
榎本隆光先生
まず、榎本隆充先生は榎本武揚先生とはどのような人物であったのかを話していただき、特に福沢諭吉が述べた「やせ我慢の説」に対し、榎本武揚先生は亡くなるまでに、それに対する回答は述べなかったが、どのような思いを持っていたのか、隆充先生の意見を述べていただきました。そして、それを説くには箱館戦争に負けた榎本武揚先生が獄中時代において家族に宛てた27枚の書簡から読み解くことができるそうで、結論をいえば、榎本武揚先生はどのような立場であっても、どのような批判を受けようとも、人のため、国のために尽くしたいという気持ちを持っており、まさに、真の武士道であった人物のようです。
松田藤四郎先生
次いで、松田先生からは榎本武揚とはどのような人物像であったのか、生い立ちから後年の生活までの概要とともに説明していただきました。一言でいえば、榎本武揚先生は、まさに万能人であったということです。官僚としてもすばらしい、政治的センスもすばらしいだけでなく、江戸っ子気質で酒飲みであったということからも人から慕われる人物像であった、ということです。


黒瀧秀久先生
また、黒瀧先生は榎本武揚先生の最も評価されるべき点について、説明していただきました。特に評価されるべき点として、箱館戦争以後における近代化への貢献が大きかったとことから千島・樺太条約の締結と産業革命の基盤整備について述べていただきました。榎本武揚先生は北海道において、北方圏の交流を念頭に真の意味で平和貿易を念頭に持ちながら北海道の開拓を行うこととなりました。特に鉱物、農林水産資源を開発することは近代化への大きな礎となり、榎本武揚の優れている点は先見の目があるほかに、技術的にもすばらしいものがあったという点が大きな貢献となったということでした。


伊藤雅夫先生
最後に伊藤先生は、本学部設立20周年を迎え、榎本武揚の理念を今一度検討し、本学部の地域的役割について説明していただきました。本学の設立者である榎本武揚先生と初代学長である横井時敬先生の理念は、「人物を畑に帰す」であり、教育の理念は「実学主義」であります。この原則をより実現していくために今日ではアクアバイオ学科、「オホーツク実学センター」という組織を新たに設け、より地域に貢献していける取り組みを行っております。そして、これからも人材育成や研究レベルを向上させ、地域活性化に繋がるような立場で「オホーツク学」なるものを研鑽していく所存であると述べていただきました。



伊藤博武先生


合田一道氏


コメンテーターは、本学部生物生産学科講師の伊藤博武先生とノンフィクション作家として活躍されている合田一道先生にコメントをいただきました。伊藤先生は本学部第一期卒業生であり、東京農業大学オホーツクキャンパスの精神を受け継いだ先生であります。また、合田先生は榎本武揚先生に詳しい作家であり、数々の著書があります。

全体ディスカッションの様子
全体のパネルディスカッションでは、榎本隆充先生より具体的な家系図の説明をしていただきました。とても印象に残っていたのは、榎本武揚先生の息子である武憲氏は黒田清隆氏の娘と結婚することとなり、箱舘戦争時では敵同士であった家系が戦争後では家族となるという話をしていただき、黒田清隆氏と榎本武揚氏の間には深い親友関係があったのではないかと連想させられました。


神田 山陽氏
最後にテレビやラジオなどでも活躍している講談師の神田山陽氏の講演を行いました。神田氏は2005年文化庁派遣の文化交流使としてイタリアへ留学した経験から現在のわが国の国民に足りないもの、あるいは不安観を独自の視点から講演していただきました。いまある事由を考えること、悩むことは非常に大切なことであり、現在の国民はおろそかにしているのではないかという考えを話していただき、特に学生にとっては目の覚める内容となったのではないかと思われます。また、このような状況は榎本武揚が思い描いていた未来になっていたのだろうかという視点も交え、とてもおもしろい内容となりました。



会場の様子1


会場の様子2


榎本武揚展


榎本武揚展の様子1


会場受付



展示品1


会場の様子2


会場の様子3



展示品2


展示品3


今回、榎本武揚展では約総勢500名の参加となり、シンポジウムでは約400名の方々に参加していただきました。ご来場ありがとうございました。

 

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