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写真1 オンネキキン川

2008年12月31日

今年

 も残すところあとわずかとなりました。様々な方達にお世話をいただいて、増殖研メンバーの活動は支えられています。ラグビーには"All for one, one for all."という言葉があると、だいぶ昔に先輩に教えてもらったことがありますが、それぞれの役割分担を自覚してチーム一丸となって目的を達成しようと努力するときには、本当にこうした気持ちは大切だと思います。
 とかく、様々なものをデジタルにバラバラにしようとする力が働く世の中で、小さな差異をもとに人をいじめて悲しい優越感を求めたり、傲慢になったり、あらゆることに"All or nothig"のような問いや考えを持つことは、人間的ではないと思います。そしてこのことは、流域の問題に取り組むときにも大切なことだと思っています。
 ともあれ、来年も網走・オホーツクでの活動に精力的に取り組んでいきたいと思います。本年も本当にお世話になり、ありがとうございました。みなさま、どうかよいお年をお迎えください。

写真2 タッコブ川の近く 写真3 網走湖へ
振り返る山本君

2008年12月9日(2)

月曜日は

 お風呂をたいて〜という記事を載せたのは今年4月21日のことです。掃除当番がうまくまわるかどうか心配していました。狭い研究室、来年はさらに20人以上増員なので全部で40名以上の大所帯になります。こうなると掃除はますます重要です。
 写真は4月から現在までの掃除当番表です。最近はだんだんと丸の数が減ってきているような気がします。このままではフェアではないので、掃除大臣の提案により掃除をやらない人に何らかのペナルティーを課すことになるかもしれません。忘年会の場で発令でしょうか?

写真1 網走湖遠景

2008年12月9日

昼寝

 写真1は大学構内から見えた網走湖の夕景です。夕空の色がきれいだったので撮りました。オホーツクは風景写真が好きな人にはきっと格別なところだろうと思います。
 今日は研究室の佐藤君と一緒に藻琴湖へ行ってきました(写真2)。藻琴湖に飛来する水鳥の様子を観察するためです。天気は良かったですが、藻琴湖の湖面には薄氷が張っていました(写真3)。薄い氷の上で鳥たちは大いに寝ていました。うらやましい…ですね。

写真2 藻琴湖へ 写真3 鳥よ
写真1 談話会会場

2008年12月5・6日

思い出の味

 日本ベントス学会は、日本全国のベントス(底生生物)の研究者の学会です。ベントスと一口に言っても、何をテーマにするかで実に様々な研究者がいます。
 ところで、ベントスとそれに関心を持つ北海道・東北在住の方々が、1年に1度集合してじっくりと研究発表・意見交換する北日本ベントス談話会という研究集会が今年は釧路であり、千葉先生と参加してきました(写真1)。夜遅くまで様々な議論をして、また色々な発見があってとても勉強になった2日間でした。
 談話会終了後に、開催者の研究者の方が勤務する北海道区水産研究所に立ち寄りました(写真2)。館内にニシンの標本があります(写真3)。なんと15歳の個体の標本があり、今となってはこれはとても貴重なものです。
 今日の釧路は青空でした(写真4)。最後に釧路でとても人気のある食堂でスパゲッティを食べました。子供の頃、めったにない外食で食べたごちそうの味がこれだったことを思い出しました。

写真2 北海道区水産研究所 写真3 貴重なニシン標本
写真4 青空の釧路 写真5 山彦のスパゲッティー
写真1 世田谷キャンパス経堂門

2008年11月23日

白鳥よ

 秋晴れの東京(写真1)を発ち、網走へ帰りました。まずは空港からの帰り道でしじみラーメンを一杯いただきます(写真2)。なんか今日は特にしじみエキスが濃厚にラーメンのスープ(塩味がお勧めです)と一体化して味を引き立てています。とてもおいしかったので、スープを全部飲みました。
 その後、夕日がきれいだったので網走湖へ行きました。見ると白鳥が沢山います(写真3)。じっと見ていると、首を水中に突っ込んでいます(写真4)。何をしているのでしょうか?大いに気になるところです。
 研究室へ戻るとキャンパスは雪化粧です(写真5)。北国に帰ってきました。

写真2 しじみラーメン 写真3 夕暮れの網走湖
写真4 白鳥 写真5 白いキャンパス
写真1 博物館遠景

2008年11月21日

江戸時代はみんなマイボトルだった

 推薦入試面接のため、世田谷キャンパスに出張しました。東京は秋真っ盛りという感じです。今年は農大の大学博物館の運営委員にもなっているので、久しぶりに博物館見学に行きました。
 「食と農の博物館」というのが正式な名称です。大学の向かい側に渡ると、馬事公苑へ続く道があります(写真1)。博物館はその道沿いにあります(写真2)。
 企画展示は写真3のように、レムールというマダガスカル島で独特の進化を遂げたサルについてと、造園学科の紹介が行われています。レムールは併設するバイオリウムで飼育されており、様々な種を見ることができました。また、様々な種類のベタ(闘魚)が販売されていてびっくりしました。企画展示は非常に興味深く面白かったです。
 博物館には売店や喫茶コーナーもあってとてもくつろいで農大や農学とその広がりについて知ることができます。常設展示では、農大OBの蔵本の酒瓶、鶏の品種など様々な興味深い展示があります。それらの中に江戸時代の「貧乏徳利」の展示解説があり、しばし、たたずむことになりました。

写真2 博物館近景 写真3 展示内容
写真1 発表する山本君

2008年11月10日

やってみてわかる

 卒論計画発表の日が来ました。なんせ21人いますので、2〜3回に分けないとやる方も聞く方も大変です。本日は第1陣。はじめての「プレゼンテーション」ということで、かなり頑張っていたように思います。
 慣れないパワーポイントというソフト、やったことがない「見てわかってもらう工夫」、そもそも研究の背景をどう理解したらいいのか、などはじめてのことで、ワーワーギャーギャーもうわやです。
 先方のM田君は大いに緊張、よくわかならいことを言っていましたが、よくまとめたと思います。今日の締めはY本君(写真1)。さすが様々な修羅場を乗り越えてきたのか、落ち着いた発表ぶりでした。発表は第2回、第3回と続きます。

写真1 初冬の天都山

2008年11月6日

それぞれの日常

 今日は網走湖へシジミの調査に行きました。現在様々な視点から研究を進めていますが、今日は季節的な潜り行動についての調査です。船から網走の展望台・天都山を見ると(写真1)、山の木々はすっかり黄金色です。網走は初雪が降りました。もういつでも冬化粧できるでしょう。
 さて、シジミは何地点かで採泥器を用いて調べます。写真2は採泥器で獲れたシジミの様子。こんな感じで普段は生きているんですね。
 その一方で、増殖研の3年生は卒論の計画発表の準備に追われています。研究室も大入りです(写真3)。けっぱれ〜。

写真2 採泥器で獲れたシジミ 写真3 満員
写真1 川縁で採集する2年生

2008年11月1日

思い出の風景

 2年生と一緒に川遊びに行きました(写真1)。場所は知床半島の付け根にあたる斜里町を流れる斜里川水系幾品川です。ところで、大都会で育った人の思い出の風景にある川はどんな様子なのでしょうか?私が生まれ育ったのは北海道小樽市です。通っていた小学校のすぐ側を川が流れていました。見事な三面コンクリート張りの川です。都会でもない北海道の港町で育った私の記憶にある川は、実はそういうわけで何となくさびしいものです。
 川へ入り、生き物を探して、獲ってみると、それまで静かだった2年生も盛り上がってきます(写真2&3)。川についての難しい理屈はさておき、まずは自分自身で川に入って触れてみること、大切なことだと改めて思いました。

写真2 何が獲れたかな 写真3 ヤマメ
写真1 札幌きたえーるの弓道場

2008年10月25・26日

試合

 ポロ沼から戻り、札幌へ行きました。実は私は弓道部の部長を引き受けています。この日は大事な試合があるので、応援するためです。多くの先生方は何だかの部活の顧問を引き受けています。増殖研の3年生もテニス、ボート、釣り、準硬式野球、アニメなどいろんな部活に入って活躍しているようです。弓道部にも増殖研の強者がいます。
 北海道内のいくつもの大学が集まっての試合です。ほとんどのところが自前の道場を持っていますが、我々にはありません。そんなハンデを持っていても、今回も立派な試合をしてくれたと思いました。

写真2 試合にのぞむ 写真3 きりり
写真1 快適なゴムボートの旅

2008年10月23・24日

日本最北のシジミたち

 サハリンから戻り、ポロ沼へ出かけました。研究室3年生の齋藤君、那須さんと栽培公社の方々との現地調査です。6月の調査の時は風が強くて寒かったので、連れて行った2名(今回とは違う)は凍える中でよくやってくれましたが、さて今回は、天気はあいにくでしたが気温が高く、さらに、水位が高かったおかげでボートで移動できたため、非常にスムーズに調査を進められました。
 さて、そろそろ私たちなりの調査結果と考察を出さなければなりません。。。

写真2 採泥器と悪戦苦闘 写真3 ポロ沼の泥
写真1 駅前のレーニン像

2008年10月16〜22日

北緯48度

 サハリンへ行ってきました。去年に引き続き海岸線状況の視察と、海岸生物の調査のためです。今回はサハリン島南部の主要な海岸線を広く見ることができました。総移動距離は約800kmにもなりました。
 最北の到達点は大シジミがいるというアインスカヤ(来知志)湖です(写真2&3)。その他、サハリン島の日本海側(写真4)、オホーツク海側(写真5)の海岸を巡りました。
 海岸線、山や川、木や植物、街や人々の様子をじっくり眺めながら、色々なことを考えさせられました。今回の成果を今後の調査研究、ロシアの方々との交流に生かしていきたいと願っています。写真1はユジノサハリンスク駅前広場のレーニン像です。

写真2 アインスカヤ(来知志)湖 写真3 アインスカヤ湖のシジミ
写真4 クラスノゴルスク(珍内)付近の海岸 写真5 ザオゼルナーヤ(樫保)付近の海岸
写真1 20周年記念式典

2008年10月11〜13日

良い素材は裏切らない

 収穫祭が行われました。同時に当学部が網走に開設されてから20周年の記念行事が行われました(写真1)。開設から20年、開設に至るまでの準備期間12年という時間、開設に際しての網走の方々の思い、そういったことを自分なりに考える機会が持てました。
 記念式典にあわせて大学の創始者榎本武揚のシンポジウムも開かれ、様々な経緯、歴史を知ることができました。一方、増殖研の3年生はサケのチャンチャン焼きで出店です(写真2&3)。何とか赤字経営にならなかったのは、やはり同じ研究室の山本君が朝獲ってきたサケの味の良さ!、でしょう。

写真2 増殖研の店 写真3 働く2人
写真1 陸水学会大会

2008年10月11日

第73回

 陸水学会大会が札幌の北大で開かれたので参加してきました(写真1)。今年度の始まりは水産学会でしたが、これで今年3度目の学会参加になります。ふと見ると、北大構内の木々はすっかり色づいていました(写真2)。
 例によってポスター発表、講演発表、シンポジウム、自由集会など目白押しにスケジュールが組まれています。会場では熱気のある議論です(写真3)。ところで、陸水とは何か知っていますか?

写真2 北大構内 写真3 ポスター発表会場
写真1 美ら海水族館前で記念写真

2008年10月3〜5日

3237マイル

 今年は南北移動がすごい気がします。水産増殖研の研修旅行で3年生21名と沖縄に行ってきました。目的は美ら海水族館を見学することで、東シナ海の生物多様性にふれてもらい、かえってオホーツク海の生物多様性について理解を深めてもらうことです。
 まずは記念写真(写真1)。そして講義(写真2:佐藤さん、横山さん、ありがとうございました)。次いで自由見学!おおっつ、ジンベイザメだ、マンタだ(写真3)。限られた時間でしたが、3年生は大いに刺激を受けたと思います。
 水族館から帰りのバスの中は静寂が支配していました(写真4)。私は自由時間に首里城見学をしました。装飾されている竜の爪の本数に意味があることを知りました(写真5)。今度はもう少し時間をかけて沖縄の歴史と現状を学び考えられるように訪れたいです。
 ちなみに、今回は団体パック旅行なのでマイルチャージはありません。あしからず。

写真2 講義を受ける 写真3 ジンベイザメ
写真4 帰りのバスの中 写真5 首里城
写真1 スタート地点に並ぶ船

2008年10月1日

1年に1回しか食べられない

 今度はシラウオ漁に同行させてもらいました。朝5時半に出港して、漁開始の6:00までスタート地点で待ちます(写真1)。6:00になるとそれぞれの船が思い思いの場所へ一斉に走り出します。
 シラウオ漁は小船が巻き網を遠くに引っ張っていき(写真2)、それを巻き上げて漁獲します(写真3)。どれだけ獲れるかは漁師さんの知恵の巡らせどころです。この網はどうでしょうか?
 シラウオとワカサギが沢山獲れました(写真4&5)。

写真2 巻き網 写真3 網をあげる
写真4 漁獲物 写真5 シラウオとワカサギ
写真1 網走川の上流側河口部

2008年9月25〜27日

コイがペラにあたる

 網走湖で9月一杯行われるスジエビ漁に同行させてもらいました。朝5時から船で出て、フクベ網(写真2)をはった岸辺へ向かって、網をあげます(写真3)。いろんな生き物が獲れました(写真4)。ウグイはものすごく沢山います。他にハゼ、フナ、アメマスなども獲れました。網は7カ所に設置されていますが、途中網走川の流入部付近(写真1)を船で走っていたらスクリューにどかんとでかいコイがあたって跳ねていました。大丈夫じゃないだろうな。。。
 スジエビは丁寧に選別してから、出荷します。地元の加工業者さんにお邪魔して見学させてもらいました。エビは塩だけでゆでられて見事なおいしさの味になっていました!

写真2 フクベ網 写真3 網をあげる
写真4 漁獲物 写真5 選別
写真1 藻琴川

2008年9月18日

治水・利水・環境

とは、川を管理する国や都道府県の方針を表す標語です。このたび網走4湖沼の1つ、藻琴湖で最大の流入河川・藻琴川の河川改修工事が予定されています。今回、その改修工事をどう進めるかの話し合いが行われました。まず現場を視察(写真1)、マスがたくさん遡上していました(写真2)。その後で集中討論です(写真3)。
 このような場はまさに「応用問題」を解く場です。そこでは様々な価値観がぶつかりあいます。したがって、治水>利水>環境、となるか、治水=利水=環境、となるか、相互の価値が現実に量られるのです。 あなたなら、どのような価値観をもとに、どのような意見を言いますか?

写真2 カラフトマス 写真3 会議場
写真1 知床岬灯台

2008年9月13日〜16日

はるかなり国後

 写真1は知床岬灯台下で磯の生物調査をする千葉先生と研究室3年生2名です。今年2度目の知床調査です。調査を始めてはや3年目、だいぶ慣れた感じもありますが、それでも行くたびに新たな発見(個人的であっても)があります。
 自然界に存在する(した)動植物や岩石鉱物を科学的に認識・分類してその成り立ちを研究する分野のことを自然史学(Natural history)といいます。学問としては西欧で発展し、2千年以上の歴史があります。
 日本で自然史学、特に生物分野である分類学が導入されたのは、ざん切り頭になった明治時代以後、140年程度の歴史しかありません。自然界(=生態系)を構成するものについて徹底的な探求が行われてきた文化圏と比較すれば、身近な場所に何がいるのかさえ知らない現状は仕方ないのかもしれません。「それでいいのか世界遺産!」、千葉先生の言葉です。
 ところで、写真紹介。写真2は砂岩(=岩石!)に穴(写真3)を掘って暮らすカモメガイ(二枚貝)の一種、写真4は見事な色のモエビ(甲殻類)、写真5はユキノカサガイに片利共生するカクレウロコムシ(多毛類)、写真6はシャミセンガイの仲間(腕足類)です。北の海は地味と言いますが、生物の多様性とそれを生み出す進化には、やはり素朴な感動を覚えます。
 岬の調査の際、立ち上がって海を見渡すと国後島がはっきり見えました(写真7)。北海道と同じく、オホーツク海を縁取る島々の一つです。

写真2 カモメガイ 写真3 
写真4 モエビ 写真5 カクレウロコムシ
写真6 腕足類 写真7 雲がかかる国後島
写真1 熊本城

2008年9月5日〜7日

難攻不落

 の天下の名城、熊本城が写真1です。日本プランクトン学会・ベントス学会合同大会に参加するため、熊本県立大学(写真2)に行ってきました。
 学会発表では活発な議論が展開され、とても熱気に満ちあふれていました(写真3)。異なる視点、異なる考え、異なる感性、そして地域によって移り変わる自然、そういった様々なものが混ざり合って色々な化学反応を起こすのが、こうした学会という場の面白さの一つだと思います。
 例えば、オホーツク海と有明海の自然を相互に比較考察すれば、自然への理解をより深められるだろうと思います。

写真2 熊本県立大学 写真3 ポスター発表会場
写真1 発表する千葉先生

2008年8月30日

地に足をつける

 温暖化が地域漁業に与える影響についてのシンポジウムが、大学で行われました。PICES(北太平洋海洋科学機関)のオホーツク海研究会との共同開催です。ロシアの研究者の方々も参加されました。写真1は発表する千葉先生です。
 温暖化という現象は確かに地球全体規模の問題です。でも、日常で最も重要なのは、足をつけている場所、地域での実際の具体的な行動・調査研究・考えること、だと思います。扱う対象がただ大きいということだけで態度もでかくなる様な恥ずかしいことをせず、地に足をつけた研究を誠実に進めていこうと思います。
 シンポジウムの後は打ち上げが行われ、ロシアの方々と一杯飲みました(写真2&3)。

写真2 記念写真1 写真3 記念写真2
写真1 選別

2008年8月29日

川シジミ

 網走のシジミは、網走湖とそこから海へつながる河川下流部の砂泥底に住んでいます。水産資源としてシジミを利用するにあたっては、資源の分布状態、量、質、再生産力などを詳しく知ることがとても重要です。
 今日は、網走湖から海までの河川区間に住む川シジミの調査です。地域の水産関係の方々総出で、朝から夕方まで丸1日のハードワークです(写真1〜3)。私も参加させてもらいましたが、筋肉痛になりました。。。

写真2 重量測定 写真3 川シジミ
写真1 サロマ湖の泥

2008年8月25日

長い筒の意味

 写真1は8月5日に行われたサロマ湖調査で採取された湖底堆積物の様子です。前にも紹介しましたが、例の「筒のぬし」の筒が泥表面にあります。通常の採泥器で採取した場合、水は抜けるので写真1のような状態であがってくるわけです。
 ところが…写真2&3はコアサンプラーで採取した湖底堆積物です。ご覧になってわかるように、ぬしの筒は、底からまっすぐ上に伸びています。これを見て、ぬしの筒がなぜこんなに長いのか、その理由が想像できました。みなさん、どう思いますか?
 泥表面の直上の水に溶けている酸素は、サロマ湖の場合、たびたび不足します。でも、筒を長くのばしておけば酸素のある水を筒の中に引き込むことができるのではないでしょうか。私の仮説ですが…。筒のぬしの生態は謎に包まれていますが、サロマ湖の環境を考える上で何かのヒントをくれるかもしれません。

写真2 棲管の様子1 写真3 棲管の様子2
写真1 キャンパス見学会

2008年8月24日

キャンパス見学会

 昨日・今日とここオホーツクキャンパスでも見学会が実施されました。天気はまずまずでしたが、昨年と同様、多くのみなさんが訪れて下さいました。各研究室を見学するほか、模擬講義や実験実習、学食試食などプログラムは盛りだくさんです。
 当研究室にも学生さんやその保護者のみなさまが訪れてくれました。まず、研究室前で千葉先生の説明を受けた後(写真1)、研究室の中へ入ってさらに説明を受けます。写真2は千葉先生、写真3は水野先生から説明を受けるみなさんです。どうもありがとうございました。

写真2 千葉先生の熱意 写真3 水野先生の極意
写真1 網走湖に沈む夕日

2008年8月21日

網走湖の風景

 やっぱりハードな日々ですが、網走湖へ水くみに行った際に、沈む夕日がとてもきれいだったので撮りました。写真3で湖面上に小さく写っている陰はボートを練習している方々です。もしかすると、研究室のボート部3年生がいたかも…
 空はもう秋です。

写真2 色が変わった 写真3 秋の空
写真1 網走川上流

2008年8月19日

水は流れる

 お盆明けの19日、網走川へ水質調査に行きました。水圏環境学研究室の塩本先生、林君と、網走市役所水産振興係の渡部さんと一緒です。
 あいにくの小雨の中の調査でしたが、上流(写真1)から徐々に下って(写真2)まさに1日がかりで下流まで19地点をまわりました。
 各地点では採水して、透視度、水温そしてpHや硝酸体窒素、COD(化学的酸素要求量)などのパックテストでチェックします(写真3)。また持ち帰った水はさらに分析する予定です。  上流から下流にかけての水質の変化を、体感することができました。写真4(上流)・5(下流)は水の中の有機物量を指標するCODのテストですが、色の違いがわかりますか?

写真2 釣り人がいた 写真3 水質テストをする塩本先生と林君
写真4 上流のCOD 写真5 下流のCOD
写真1 ポロ沼の看板
写真2 塩止めフェンス

2008年8月12日

シングルモルト

 北海道の短い夏、今年はほんとに短かったように思います。そんな夏の一こま。お盆入り前の11・12日に、6月にも行った猿払村・ポロ沼へ現地調査に出かけました。ポロ沼のそばには写真1のような看板が立っています。
 塩分の影響が強くなった湖内で、最大の流入河川であるポロ川流入域付近をフェンスで囲うことで、シジミの生息や繁殖に好適な条件を作り出してみようとする野外実験です(写真2)。
 歩いて調べてみると、フェンスの内外にそこそこシジミがいます(写真3)。ただ、ごく小さい個体はほとんど見あたらないので、繁殖はうまくいってないのでしょうか。力尽きた個体も見られます(写真4)。
 ポロ沼へ淡水を供給している上流が気になったので(写真5&6)、源流まで見てみました。意外にあっというまに源流にたどりつきました。写真7がそうです。何と藪の中ですが、農業排水路として整備された末端部分に位置していました。そこら辺から細々と湧いているようです。一方、下ってオホーツク海との接続口をみると(写真8)、海水がざっぱり入るようになっています。
 シジミが住める汽水は、海水と淡水の絶妙なブレンドがいります。今回上流から海側河口まで実際に見て回ることで、ポロ沼の現在の汽水の状態を考える大切な機会を得ることができました。

写真3 ポロ沼産シジミ 写真4 シジミの亡骸
写真5 ポロ川の河口 写真6 細々とした流れ
写真7 藪の中 写真8 ドドーンとオホーツク海
写真1 能取湖の干潟

2008年8月8日

能取湖の風景

 試験、フィールド調査、各種講演発表など今週はかなりハードでした。大学も夏休みに入り、大学の中も静かになったように思います。ここらで少し、休憩しますか。
 写真は能取湖、臨海センター付近で最近とったものです。写真2は臨海センターにかかる2本の虹です。2本同時の虹は初めて見ました。
 

写真2 臨海センターにかかる虹 写真3 能取湖の夕日
写真4 秋!?の空 写真5 夜と昼のブレンドの色合い
写真1 マッケラス式ピストンコアラー

2008年8月1〜7日

タイムマシン

 写真1は「マッケラス式ピストンコアラー」という湖の底の堆積物をとる装置です。水底の堆積物(砂泥)を取る道具は実は色々な種類があります。コアラーは「細く長く取る」ための道具です。
 湖の底にたまった堆積物は、その場所にずっと昔から降り積もってきたものなので、過去の環境の歴史を記録したタイムレコーダーです。したがって、堆積物を取る長さは過去の時間に比例していることになります。歴史を知ることはとても重要で意義あることです。「過去に目を閉ざすものは、現在に対しても盲目となる」です。環境の将来変化を予測考察する上でも極めて有用な情報が得られます。
 今回、島根大学汽水域研究センターの瀬戸先生との共同研究として、能取湖をはじめとする網走周辺の沿岸海跡湖でコアサンプリングによる研究を開始しました。
 臨海センターでサンプラーを組み立て、乗せて(写真2)、「かいよう2」で出港です(写真3)。能取湖最深部地点で投入(写真4)します。このサンプラーは、船からホースをつなげてピストンに空気を送り込むことで筒を底に刺して、かつドラムの中に空気を入れることで自力で浮かび上がらせる、という技を使います。
 投入して、筒を突き刺し、感触を得ました。ドラム内へ空気を送って浮かび上がるのを待ちます(写真5)。なかなか…来ない、と思ってカメラを降ろしたとき、ドバーッと来ました(写真6)。すごい!取れたのは能取湖3000年の歴史です(写真7)。増殖研3年生とこのサンプルの分析に取り組みます。

写真2 積み込み 写真3 かいよう2初陣
写真4 マッケラス投入 写真5 まだかな、まだかな
写真6 きた〜 写真7 能取湖3000年の歴史
写真1 湖口開削

2008年7月14日

大シジミの日

 以前も紹介した大シジミがすむ沼に行ってきました。年に1回だけ漁をしているのです。沼に行ってみると、海岸を掘削していました(写真1)。湖水を海へ流して、干上がらせるようです。
 水が引いた沼は干潟状態です(写真2)。そこへ沢山の漁業者の方々が来てシジミ採りに精を出していました。
 増殖研3年生2名を含む我らが調査隊も出陣です。(写真3)シジミは泥の中に埋まっています(写真4)。とれたの見るとどうですか?(写真5)大きいのは5 cm級です。どうしてこんなに大きいのでしょうか?この素朴な疑問に取り組んでいきます。

写真2 シジミ採りの人々 写真3 調査隊は行く
写真4 泥の中のシジミ 写真5 沼の主
写真1 サロマ湖の底

2008年7月12日

泥のつつ

 サロマ湖調査へ行ってきました。今回、底の泥を採集していて不思議なものを見つけました。泥の表面に、何かひも状のものがたくさんあります(写真1&2)。いったいなんでしょうか?よくアマモなどの枯れた葉がつもっていることがありますが、植物性のものでしょうか?
 研究室にサンプルを持ち帰り、サンプルの整理をしながらじっくり観察しました(写真3)。どうも筒状のものです。ということは、筒のぬしがいるはず。どんなやつでしょうか?そうこうしていると、サロマ湖卒論担当の末沢君が筒の先から何か出てくるのを発見!
 顕微鏡で見てみると(写真4&5)、筒のぬしは環形動物多毛類のカザリゴカイの1種だということがわかりました。筒の長さの割に体の長さは1cm程度です。どうしてこんなに長い管をつくるのでしょうか?

写真2 泥表面の謎の物体 写真3 調べる末沢君
写真4 出てきた! 写真5 筒の主
写真1 臨海センターに集合

2008年7月11日

ホッカイエビ飼育実験

 飼育していたホッカイエビ(北海しまえび)の放卵メスから幼生がふ化しました。ひと月経って、体長7mmほどだった幼生も15〜20mmまでに成長したので、この日は、生存数の確認と密度調整を行いました。4年生の塚越さんの指導の下、増殖研3年生も少々手伝いました。1匹1匹ダメージを与えぬように計測するのは、根気のいる作業です。じみ〜な作業ですが、これも重要な研究プロセスです。3年生はそろそろ卒論テーマを決める時期ですから、どんどん色んな調査・実験を手伝って、イメージを現実にしてください。

 幼生飼育器 腰が痛い
写真1 調査出発

2008年7月1日

ザ ブレンド オブ アバシリ

 網走湖は長さ約7kmの河川下流部でオホーツク海とつながっています。満潮で海面が高くなった時に、川底を伝って海水が網走湖へ流れ込みます。網走湖の汽水は海水と上流から流れ込む陸水の微妙な混ざり合いでつくられています。
 ところで、網走湖から海までの流路にはシジミがかなりいます。しかしその生態はよくわかっていません。これまで繁殖状況の調査を行いましたが、再びさらに詳しく下流部のシジミと底生動物について調べることにしました(写真1〜3)。
 調べてみると結構大きなサイズのシジミがいます(写真4)。川のシジミと湖のシジミはどのような関係にあるのか(写真5は網走湖の湖口)、など調べたいことはたくさんあります。北海道最大のシジミ資源と汽水域の保全のために努力していきます。

写真2 新橋に向かう 写真3 刑務所前の干潟
写真4 刑務所前のシジミ 写真5 網走湖の湖口
写真1 晴れの日のポロ沼

2008年6月24日

奪われる熱、まわる風車、ぬかるむ足

 ポロ沼は日本の北端に近く、網走キャンパスからはオホーツク沿岸線を北上して約5時間くらいの猿払(さるふつ)にある面積約1.8km2の小さな沿岸海跡湖です。かつてヤマトシジミ漁業が成り立っていましたが、現在では再生産がうまくいかないような状態にあるようです。
 そこで、私たちはポロ沼のシジミ資源と環境の状態を調べるための共同研究の一環として、第1回現地調査を行ってきました。写真1は2006年8月に訪れた時の遠景ですが(遠くに風力発電機が見えます)、今回調査時は写真2&3のようなあいにくの天気、調査時の気温は約9℃、東の風8mで調査に参加した研究室3年生は寒かったろうと思います。また、沼は歩けるような水深で、ぬかる泥底をボート&荷物を引っ張って歩くというハードなものでした。
 研究室に帰って選別採集してみると(写真4)、とれたのはシジミの貝殻ばかりでした(写真5)。引き続き、シジミと汽水域の保全・再生のための調査研究を進めていきます。

写真2 またもゴムボートで調査 写真3 採泥調査
写真4 ベントスの選別収集 写真5 採集されたベントス
写真1 知床岬

2008年6月16〜21日

知床へ

 今年も知床半島での海岸生物調査が始まりました。約1週間に渡って調査地に泊まり込んで半島全体に設定した地点で野外調査を行います。
 知床半島先端の岬(写真1)へは船で移動し、文吉湾(写真2)という場所でキャンプしながらの調査です。調査地点は岬灯台の下に設定してあるので、岬へ続く台地を歩き(写真3)、台地から海岸へ下りて(写真4)調査に入ります(写真5)。
 調査地から基地に戻ると、場所や採集方法毎に採れた標本(写真6)を記録、撮影、保存します。写真7は最終調査地に参加した3年生と4年生が標本の整理をしているところ。今月はまさに東奔西走です。

写真2 文吉湾へ 写真3 岬の台地を行く
写真4 灯台下の調査地へ 写真5 サンプリング
写真6 採集した甲殻類 写真7 標本の処理
写真1 トビウオ

2008年6月10〜14日

中国への旅

 旅にでると色々なことに気づいたりします。物の見方・考え方を広げ深めるにはとても良いものです。出張で1週間近く中国地方を旅してきました。
 中国地方は鳥取・島根・岡山・広島・山口の5県からなります。総人口は770万人。中国山地を背骨として日本海と瀬戸内海に囲まれた地域です。私が卒業研究で島根県の宍道湖を初めて訪れたのが1991年、この地域の方々と自然にはもう17年お世話になっています。
 旅先でのスナップを紹介します。写真1は島根県立海洋館アクアスにいる島根県の県魚トビウオ。写真2は中国山地の山あいの風景。写真3は広島市内の太田川でシジミを採る人。写真4は呉港。そして写真5は瀬戸内海の夕日です。

写真2 中国山地 写真3 太田川でシジミを採る人
写真4 呉港 写真5 瀬戸内海の夕日
写真1 ホタテガイの鰓

2008年6月6日

パラサイト

 増殖研が担当する学生実験、実習はいろいろありますが、先日1年生対象のホタテガイの外部・内部形態の観察を行いました。その際にホタテガイの鰓に白いつぶがついているのを見つけました(写真1)。
 そのつぶを取り出して顕微鏡で観察してみると(写真2)、見えたのは何とも不思議な動物!?です(写真3)。眼点が2つ、回転するような運動をして水中を活発に運動しています。どうも繊毛による運動のようです。
 私はおそらく扁形動物ではないかと思いますが、みなさんはこの生き物は何だと思いますか?。寄生生物の世界は非常に興味深く、また奥深いもので、多種多様な種がいます。私が最近強く関心を持つものの一つです。

写真2 顕微鏡で拡大写真を撮る 写真3 これは何でしょう?
写真1 サロマ湖養殖組合

2008年6月3日

天気晴朗

 最近ははっきりしない天気でしたが、今日は快晴でした。サロマ湖調査の日です。サロマ湖養殖組合(写真1)、北海道環境科学研究センター、同地質研究所と共同の調査で船の上は総勢11名にもなりました。風は穏やかで、波もなくいざ出港です(写真2)。
 私達のチームは、サロマ湖の湖底に生息する底生動物(ベントス)の採集です。写真3のような「採泥器」という器械を使って、サロマ湖全域に設定した調査地点で5〜17mくらいの深さから堆積物を採取します(写真4)。3年生は初挑戦です。今日は絶好のコンディション。でも、なかなか苦労してました…。ごくろうさま。

写真2 出港 写真3 採泥
写真4 サロマ湖の堆積物 写真5 がんばる3年生
写真1 磯に貼り付く調査隊(知床財団・野別氏撮影)
写真2 コドラート
写真3 キタノムラサキイガイの死殻

2008年5月28日

流氷と磯の生物

 卒論テーマ模索中のメンバーと共に、知床半島で磯の調査を行ってきました(写真1)。今冬の流氷量はこの数年では特に多かったので、流氷が磯の生物に与えるインパクトを調べるのが最大の目的です。
 過去2年間と同じ海岸の同じ地点にコドラート(写真2)を置き、何がどれだけいるのかをひたすら調べます。参加したメンバーは、知床、生物多様性、新種の発見などというキーワードから想像した調査の実際を、どう感じてくれたでしょうか?
 調査結果はこれから解析しますが、昨年までの同時期よりも、明らかに越冬する(多年性の)海藻量が減っていました。また、大型動物も少なく、潮だまりには夥しい数のキタノムラサキイガイの死殻も堆積していました(写真3)。
 これが流氷の影響と結論付けるのは性急ですが、その可能性は高いでしょう。つまり、流氷は知床の磯の群集構造に大きな影響を与えていることが強く推察されます。
 ところで、確かに今年は流氷量が多かったのですが、過去10年、20年と比べるとそれでもかなり少ないそうです。ということは、流氷が減っているという事実は、知床の磯の様相も変わりつつあることを意味するものかもしれません。

写真1 調査開始

2008年5月13日

オイカマナイトー

 北海道十勝、大樹町にある生花苗沼(おいかまないぬま)へ行ってきました。ここに以前紹介した大シジミが住んでいます。大シジミをテーマにして、北海道環境科学研究センター、北海道大学の皆さんと共同研究を始めることになりました。
 今回はその第1回現地調査ということで、水質・底質や沿岸域の生物相、地形や周辺状況などについて予備的な調査をしました(写真1)。写真2で真ん中の砂浜の左側の水は沼、右側は太平洋で、この沼も沿岸海跡湖の一つです。
 研究室の3年生と一緒にゴムボートをこいで沼を周りました(写真3)。ゴムボートはなかなか難しい。特に2人で息を合わせてオールを漕ぐのはなかなか難しかったです。

写真2  写真3 木陰からの網走湖・能取湖
写真1 改修なった網走川上流
写真2 大いに曲がる忠類川上流

2008年5月4日

曲者

 世は連休となり、休みモードですが、休みの日は集中して時間が確保できる時でもあります。さて、この時間を利用して、網走川と忠類川を2日かけてめぐってきました。
 写真1は網走川中上流域です。網走川中上流域ではここ2年ほど改修工事が進められてきました。河川改修は日本全国どこの川でもやっています。特に流域に多くの人が住み、土地を利用している川ではそうです。改修の要点は、大量の水をすばやく流すために(1)まっすぐにする(2)深く掘る、ことです。できれば河道をコンクリで固めれば、スピード・量ともに「理想的な排水システム」が完成するのは間違いありません。
 写真2は忠類川の上流です。見事な曲がり方です。忠類川は知床半島をはさんで根室側の標津町を流れる、中上流域は本来の自然状態がよく残された川です。両方の川の中を歩いてみると、水の流れる速さ(=流速)が違うことを体感できました。何が違うかというと、網走川改修区間では水の中がどこでも速いのに対して、忠類川では水の中に速い・遅いがたくさんあって流れに多様性があるという点です。
 生態系としての川、流域の健康を考えたときには、人はどのように川とつきあえば良いのでしょうか。このことは、とても大切で難しい問題だということを、2つの川を歩いてみて改めて実感しました。
 写真3は途中で見つけた花、写真4は忠類川にいたシノリガモというカモで、川岸から川の真ん中へ出たあと、水中にダイビングして餌をとっていました。見事なのでつい見とれてしまいました。

写真3 ホソバエンゴサク 写真4 忠類川のシノリガモ
写真1 背面

2008年4月26日(2)

エビジャコのぬし

 エビ・カニの仲間を甲殻類と言いますが、陸上の昆虫がそうであるように実に多様な種から構成されています。水産資源として重要なことはいうまでもありません。カニはヒトを沈黙させることができます。
 先日、ゲノム研の松原先生が万泰丸の方々から写真のようなエビをもらったということで、持ってきてくれました。水深1000m台で採れたそうです。エビジャコに似ているけどでかいな、ということで千葉県立中央博物館の駒井智幸博士(甲殻類の分類学がご専門)に写真を見てもらいました。Sclerocrangon属だろうということですが、標本を送って見てもらうことにしました。もしかすると新種かもしれません。

写真2 顔アップ 写真3 頭部側面
写真1 アクア棟階段横の吹き抜け

2008年4月26日(1)

青い湖面

 春の陽気です。また、気分転換に歩いてみました。グランドではアメフト部や野球部が練習しています(写真2)。
 白樺の林から眺める網走湖、能取湖は、やや春霞がありますが、今日もとてもきれいな湖面を見せています(写真3)。オホーツクブルーの空とそれを移す湖面、広がる大地が見ごたえある風景をつくっています。
 しかしながら、網走湖も能取湖もその一見きれいな湖面の下に、様々な問題を抱えていることも事実です。私が関心を持ってきた汽水域が、河川流域と沿岸域の絶妙なブレンドである以上、今まで以上に陸と海のつながりを意識して、研究に取り組んでいきたいと思っています。

写真2 桜のつぼみとアメフト 写真3 木陰からの網走湖・能取湖
写真1砂浜を渡る雪解け水
写真2タネヒラ海岸
写真3オオミノウミウシ

2008年4月25日

磯の春

 もう本格的な春がやってきたということは、本格的な調査シーズンの到来を意味します。春は1年で潮位がもっとも下がる季節であり、磯の調査がもっともしやすい季節でもあります。
 今年の冬はここ数年でも特に流氷が多かったので、そのぶん例年の春とは違う磯の顔が見られるのではないかと期待しています。つまり、流氷が来ることによって、岩礁潮間帯の生物群集がどのように変化するのか、それを調べる絶好の年です。さらに、流氷が減少することで、オホーツクの磯がどうなってしまうのかを、予測できる貴重な年となるかもしれません。
写真1枚目は融雪時にだけ現れる砂浜の川。
写真2枚目は干潮時の潮間帯。
写真3枚目はオオミノウミウシ。美しいバラにはトゲがありますが、可愛いウミウシに毒があります。この詳細は講義「ベントス学」で。

写真1 朝の11号館アクア棟

2008年4月22日

散歩

 しました。大学の周りには「ファイントレール」という立派な遊歩道コースが整備されています。冬はスノーシューや歩くスキーでまわれますし、それ以外の季節は普通に歩いてまわれます。
 アクアバイオ学科6研究室がある11号館(写真1)を後にして、しばらく歩くとふきのとう(写真2)がありました。その後アップダウンがあってしばらくすると大学の裏手の道に出ますが、そこには「大観山(たいかんざん)」とあり(写真3)、すぐそばに呼人方面と網走湖方面を示す標識もあります(写真4)。あまり使われてない道だと思いますが、立派な標識です。大学はこの大観山の山頂に建てられているのです。
 目を転じるとシラカバの林があり、その先に網走湖と能取湖がかすんで見えました(写真5)。

写真2 ふきのとう 写真3 「大観山」の標識
写真4 「直進・呼人2km、右折・網走湖2km」の標識 写真5 春霞の先の網走湖、能取湖
振り返る山本君

2008年4月21日

月曜日は

 お風呂をたいて〜はロシア民謡ですが、研究室では朝1番からゼミがあります。
 しばらくは水産増殖学研究室の一員としての自覚覚醒と、諸注意事項説明、設備などのガイダンスを行います。研究室の学生幹事をはじめ各種係りも決めました。今日は掃除当番制について話し合い、決めました。狭くて限られた空間を最大限効率よく使うには、整理整頓掃除は基本中の基本で、長期航海をして仕事をする船の場合では特に新人は厳しく鍛えられます。さて、ちゃんと掃除できるかな。写真は研究室の設備等について水野先生から説明を受ける3年生。

写真1 道の駅
写真2 のれん越しの風景

2008年4月20日

ちょっと一息

 4/7月曜日から入学式、1年生との温泉旅行があり、4/14から授業、実験が始まり、また研究室へ新3年生が配属されて研究室のリニューアルやガイダンスを行い、、それまでの嵐の前の静けさはどこへ行ったやら、怒涛のごとく新学期が始まりました。
 新たに企画したり、準備したりといったことが目白押しで、あっという間に2週間たってしまいました。そんな中、先週18日に札幌出張があり、今日帰ってきたところです。
 女満別空港から大学まで車で約30分、途中に道の駅があります(写真1)。そこにラーメン屋さんがあり、しばしば出張帰りの際に立ち寄ります。ここの名物はその名も「しじみラーメン」。網走湖産のヤマトシジミをふんだんに使ったスープが何ともおいしく、私は好きです(写真2)。青森県十三湖へ調査に行った際にも十三湖シジミラーメンがあり、おいしかった思い出があります。
 さて、そのあと網走湖畔へ行ってみると、氷はすっかり溶けていました(写真3)。今日の気温は10℃、札幌では20℃もあり、桜も咲いていました。もうすぐ網走でも桜が見れるでしょう。
 ところで、さっきの道の駅で網走湖産シジミを使った「シジミドリンク」を見つけたので購入、う〜む…。身体に良いのは間違いないと思います。東京でもシジミエキスの立ち飲みができる店があります。これで、ゴールデンウィークまで元気に過ごしたいと思います。

写真3 早春の網走湖 写真4 汽水域スピリット
写真1 展覧会のチラシ
写真2 混雑する上野駅公園
写真3 会場への道にあった看板…何か怪しげ?

2008年4月1日(2)

生物への情熱

 東京上野の科学博物館で「ダーウィン展」を見て感動しました。展示はニューヨークにあるアメリカ自然史博物館で企画されたものですが、世界各国の自然史博物館で巡回展示されるような企画になっていて、今年は日本(東京国立科学博物館、大阪市立博物館)で開催されます。
 展示の仕方は、博物館の方の仕事師としての腕の見せ所だと思いますが、今回のダーウィン展の展示には感心しました。ダーウィンが生まれ、学んで、成長し、家族を持って、仕事をして、死ぬまでの人生が、素直に描かれていて、ダーウィンという私たちと同じ一人の人間が送った人生を追体験できるように展示されていたことに、とても好感を持ちました。
 ビーグル号による世界1周は5年にわたりましたが、22〜27歳だったダーウィンにとって、はかりしれない影響を与えただろうと思います。その航海で受けたであろう感激も展示を通じて伝わってくる感じがしました。
 ダーウィンはその人生で、現在の生物学に革命的な影響を与える理論を生み出しました。日本ではよく進化論と呼ばれていますが、現在の科学で進化生物学という分野の根幹をなす理論的骨格を最初に提案する仕事を成し遂げた人です。
 私が感動したのは、一人の人間がその人生を送る中で、色々な経験をつんでいき、成長して、いろいろある人間関係を良好に保ちつつ、自分の興味関心を持ったことを深く追求して、緻密に一つの考えを作り上げ、しかも、世界を改革するような仕事を成し遂げた人だったのだなあ、と感じられたことです。特にダーウィンの「生物と自然への情熱」、「誠実な」人柄をとても強く感じました。
 現在の研究者がおかれた環境と、ダーウィンが研究生活を送った環境は大きく違うと思います。ダーウィンは裕福な家庭で生まれ育ち、生涯食べるに困らない財産を持っていました。が、「好きこそ物の上手なれ」、「下手の横好き」などのことわざはあれど、自分が興味を持ったことを、素直に奥深く追求することで仕事をコツコツと成し遂げていくことは、色んな意味での「多様性」を確保する上でもとても大事なことだと思います。
 とにかく、今回見たダーウィン展は良かったです。機会があったら是非見てください。ダーウィンの言葉で、私が印象に残ったものの一つ(たくさんありました)を最後に紹介します。
 「しかし、どう考えたらよいのかわかりません。優先権確保のために書くという考え方が、嫌なのです。でも誰かが私の学説を私よりも先に公表したとしたら、さぞや悩むことでしょう。ともかく、お気持ち感謝します。(1856年5月、ダーウィンからライエルへの手紙の一部:ライエルは地質学・古生物学研究者でダーウィンの理解者、ライエルは早く進化論を公表するよう忠告していた。その後1858年、自然史学者アルフレッド・ウォレスから自然選択のアイディアに関する手紙をもらって驚いたダーウィンが「種の起源」を出版したのは、着想から20年近くたった1859年のことだった。)」

写真3 国立科学博物館 写真4 私の先生
写真1 東海大学正門
写真2 大会会場
写真3 発表する千葉先生

2008年4月1日(1)

16年ぶりの清水

 新年度が始まりました。水産学会への参加でしばらく静岡県清水に行ってました。会場は東海大学海洋学部(写真1&2)です。
 大会は5日間にわたり行われ、講演発表718題、ポスター発表173題、シンポジウム11企画、要旨集の厚さは1.8cmありました。参加者はどれくらいいたんでしょうか。朝の9:00から夕方18:00過ぎまで、講演発表だと12分間隔であります。発表は11個の会場にテーマ毎に分かれて行われます。というわけで、自分の関心のある発表を聞きに会場を渡り歩くことになります。
 1日中発表を聞いて動き回り、議論や情報交換をし、さらに夜には研究者同士、また旧友や先輩後輩の方たちと交流を深めるためにちょっと一杯…、それも何日もとなると、学会は体力勝負です。
 それは冗談として、エビやカニ、魚や貝などの水生生物の各個体の生き残りは、変動する自然条件下で生き残りに有利な特徴を持っているかどうかにかかっています。本来はそうした「自然選択」が働く自然環境で、長い時間をかけて生物は進化してきました。
 牛や豚、犬や猫、野菜くだもの、米や麦などの生物資源は、もともと自然条件下で生きていた種を飼育して、「人為的に選択」し、資源として利用するのに有利な特徴をもつものを選抜して作り上げた生き物です。
 一方、漁業は自然条件下で生きている野生の動物種をハンティングすることで成り立っています。多くの場合、ハンティングの基準は獲物の「大きさ」です。
 このように考えると、漁業は漁獲対象種の大きさを長期にわたり選抜し続けることで、何らかの「人為的な進化」を引き起こすことが予想されます。この問題は現在世界で最も重要視されていることの一つですが、千葉先生はこの進化水産学という分野の日本の先駆けです(写真3)。今後のこの分野の研究の一層の進展が望まれますし、当研究室はそのための最善の努力をしていきたいと思います。
 ところで、私がはじめて参加した学会が開かれたのが、この東海大海洋学部で今から16年前になります。その時昼休みに校舎のすぐそばの砂浜を歩いたことを覚えていたので、今回も歩いてみました。
 砂浜はすっかりやせていました(写真4)。またも海岸侵食という変化を目の当たりにしてショックを受けましたが、富士山の壮大な姿に少し救われた思いがしました(写真5)。

写真4 三保半島の海岸侵食 写真5 三保の松原から見た富士山
写真1 涛沸湖の鳥たち

2008年3月23日

ハングリー

 いろいろな研究テーマを考える中でふと思い立ち、涛沸湖に行ってきました。前の記事でも紹介した、ラムサール条約登録の海跡湖です。水鳥がたくさんいました(写真1)。
 あいにくの天気でしたが、人もたくさんいて、親子連れで楽しむ人、バードウオッチングを楽しむ人、それぞれが涛沸湖での休日をすごしていました。
 白鳥の餌(パンの耳)が売られていて、親子が白鳥やウミネコ、カモ類にあげています(写真2)。白鳥はもともと植物質の餌が中心で、水草やアマモなどを食べています。よく水中に顔を突っ込んだスタイルを見かけますが、あの姿勢はそうやって水底のものをあさっているのです。
 しかし、パンを持つ人の手を見るけなげな顔(写真3)…、学生時代、お金がなくてパン屋でパンの耳を買って食べていたあの頃の自分を、思い出しました。

写真2 餌をもらう白鳥 写真3 ジッと手を見る白鳥
写真1 南国の空

2008年3月19日

盃も見たかった

 出張で福岡に行ってきました。気温差は10℃ほどですが、私にはとても暑く感じられ、ずっとYシャツ1枚でいました。福岡は実は初めてだったのですが、とても大きな街ですね。
 帰りの時間までの合間に福岡市博物館に行きました。博多の歴史をみて、ここが日本と世界をつなぐ玄関だったことを再認識できました。また、大杯の酒を飲みほして福島正則から槍をもらった黒田氏の武将、母里太兵衛の、その槍も見ることができました。
 写真1は、壱岐・対馬へ向かうフェリー乗り場に向かう道、写真2・3は博多港の様子です。

写真2 博多港の様子1 写真3 博多港の様子2
写真1 発表する宮津さん
写真2 卓上の涛沸湖

2008年3月14日

Quo vadis?

 網走4湖沼といえば、能取湖・網走湖・藻琴湖、そして涛沸湖のことで、これにリヤウシ湖を足して網走5湖沼ともいいます。どれも沿岸海跡湖です。
 先日、涛沸湖の環境保全についての話し合いに参加してきました。涛沸湖はラムサール条約に登録されているように、渡り鳥、水鳥がとても多い湖です。冬は特に白鳥が多いですね。
 自然が豊かな、と思いますが、話し合いに参加して、いかに自然が変化してきたのかを痛切に感じました。この話し合いは涛沸湖を抱える網走市と小清水町の主催ですが、現地の住民、街の人、農業、畜産、水産、観光などなど様々な立場の人が参加しています。
 私が参加したグループは主に「水関係」の方々と一緒でしたが、生まれ育った場所が涛沸湖沿いの町というご年配の方々がいて、いろいろなお話を聞かせてもらいました。
 「昔は水深が10数mあった(今は2mもない)」、「涛沸湖をふさいでいる砂丘の砂浜は、海へ向かってかけっこ遊びができるほど広かった(今は陸から波打ち際までほんの少し)」「シジミはとれなくなった(今はカキ養殖をしている)」「流入する川の幅はずっと広くて、よく泳いで遊んだ(今は川が直線化し、水量も減った)」などなど、この50年間で涛沸湖がどういう変化をしてきたのか、思い知らされました。
 変化してきたのは日本、世界全体の自然環境も同じです。涛沸湖も例外ではなかっただけです。そもそも時間とともに変化しない自然はありません。一般に湖が陸地化するのは自然な宿命ですし、海跡湖の場合は再び内湾になったり、閉鎖性が強くなったり、地形が大きく変化したりすることも自然にあります。今見ている自然が、未来永劫同じ姿で持続することはなく、必ず私たち同様に寿命があります。
 しかし、人間活動の環境影響は、自然な変化をあらぬ方向へ加速させて、自然の寿命を短くしたり、絶命させたり、自然界には本来ないものを生み出したりしています。
 これまでの50年間に汗を流してやってきたこと、これからの50年間で汗を流してやっていくべきこと、私たちは長期的な思考と行動ができるでしょうか。

写真1 発表する千葉先生
写真2 会場の熱気
写真3 飛行機からの眺め(奥に斜里岳)

2008年3月11日

価値とは何か

 H19年度の「知床世界自然遺産生態系調査報告会」が昨日札幌で開催され、参加してきました。主催は環境省です。
 朝9:30から夕方18:00まで、陸上動植物、エゾシカ、海域、河川、社会の各分野合計32件の調査研究成果の発表、18:00から今後の調査計画の打ち合わせ、その後懇親会、と朝から晩まで知床漬けでした。
 アクアバイオ学科からは、塩本先生、小林先生、千葉先生、私(園田)の4名が参加、引き続き、知床世界自然遺産の調査研究にたずさわります。写真1は発表する千葉先生、会場には約50人近くが参加して熱気にあふれていました(写真2)。
 知床半島は、オホーツク海の南端に突き出た半島です。国際自然保護連合(IUCN)の評価を受け、国連教育科学文化機関(ユネスコ)認可の「世界自然遺産」に登録されたのは2005年7月のことで、これまで約2年半が経過したことになります。
 世界遺産となった知床をどのようにして保全、管理していったらよいのか、という大きな問題は、環境省が設置した「知床科学委員会」という場で検討されています。
 保全や管理計画をつくって実行していくには、知床生態系の実態を正確に把握しておく必要があります。そこで、陸上、海域、河川、社会の各分野にわたって様々な調査研究が進められているわけです。
 驚くべきことに、海岸にどんな動植物が生息しているのかという、極めて基本的な情報が欠けているのが実状です。以前の記事でもたびたび紹介してきましたが、当研究室では、海岸の無脊椎動物の調査研究をこれまで2年間実施し、その結果80種以上を確認できました。調査は今後も継続するので、最終的には100種以上の生息が確認できるでしょう。今後の調査もますます楽しみです。
 知床は「世界遺産」となり、多くの人の関心を集めていますが、私たちが住んでいる場所の身近な自然も、かけがえのない大切なものです。私達が普段生活し、働く場所の自然環境と動植物の保全・管理も、知床同様の価値を持っていると思います。私にとって「自分の自然遺産」は、小さい頃に遊んだ故郷の海岸や山だなあと、帰りの飛行機から窓の外をながめて、ふとそういうことを考えました。

写真1 窓の景色

2008年3月8日

春の気配

 写真1は大学内のとある場所の、私が好きな窓の風景です。手前にシラカバがあり、奥の林のすき間から網走湖が見えます。もっと林に近づいて見たのが写真2(中段左)です。どこが網走湖かわかりますか?
 窓枠は様々な景色を額縁にはめた絵のようにします。一息ついて窓の外を眺めた時に見える景色が、ここではご覧のような絵になっていて、私はとても好きです。私は景色を眺めるのが好きで、電車や飛行機に乗ると読もうと思って本を取り出しても、結局窓の外をじーっと見ていることがしばしばあります(仕事しないでいつも窓の景色を眺めているわけではありません、念のため…)。
 今日はとても良い天気です。しかもとても暖かいです(気温は5℃)。2/24記事で紹介した回廊は雪がなくなっています(写真3:中段右)。構内につもった雪の厚みも何となく薄くなってきたような感じがします。
 それでも、まだ中庭はご覧のとおりです(写真4:下段左)。ところで、これじゃ人は通れないじゃないかと思うかもしれませんが、心配いりません。冬の間は主要幹線は除雪して確保しています(写真5:下段右)。毎日の雪かき、本当にお疲れ様です。

写真2 網走湖 写真3 回廊
写真4 雪で埋まった中庭 写真5 通り道
写真1 能取湖畔パーキングにて

2008年3月2日

青い白

 能取湖の湖口は護岸で固められて通常はオホーツク海の海水が潮の干満に応じて出たり入ったりしています。冬の間はどうなるでしょうか?
 能取湖へ行ってみるとたくさんいた釣り人がちょうど引き揚げるところでした(写真1:上段左)。湖口の方へ行ってみると、氷でびっしり埋まっています(写真2・3:中段)。でも結構すき間があって降りたらやばそうです。実際、青々とした海水が見えました(写真4:下段左)
 帰ろうと海を見ると、あれ、青いな…(写真5:下段右)。流氷と太陽の光が作り出したとても美しい青だと感じました。

写真2 能取湖湖口 写真3 能取湖口の護岸
写真4 氷の下 写真5 青く白い海
写真1 Good smile

2008年2月27日

一期一会

 一生に一度限りの機会という意味ですが、日常生活を含めて今起きていることが将来全く同じ状態で繰り返すことは厳密にはないといえますから、そういう意味では目の前に今起きている、自分がしていること全ては一度きりの出来事といえます。
 進化生物学は、「その時とまったく同一の状態に戻って再現してみる」という実験を行うことができません。物理学や化学の実験では無いことです。しかしこれは非常に大きな特徴で、進化生物学は「歴史性」を持つ対象を研究している、といえます。歴史性を持つ対象は生物だけでなく、地球、惑星、宇宙など地学、天文学の研究対象もそうです。
 昨日は臨海センター隣の水産科学センターで、地域の水産関係者の前での修論・卒論発表会でした。一期一会の日だったと思います。みなさん、おつかれさまでした。

写真2 皆川さん発表 写真3 秋山君発表
和田君発表

2008年2月25日

動物の行動には

 意味があります。どうしてそういう行動をするのか、を問う動物行動学は非常に面白い学問です。行動に関する研究は進化、生態、生理、心理や無脊椎動物から人間まで幅広いテーマと研究対象があります。
 例えば夜型の人、朝型の人いますね。昼夜逆転型もいるかもしれません。が、人間にはもとから備わる体内リズムがあります。時差があるような外国に行った場合、最初は眠くてもしばらくすれば現地のリズムに慣れます。これには太陽光がキーになっているようです。人は明るいうちに動き、暗くなったら眠るようなリズムを持っているわけです。
 当研究室の和田君は、ホッカイエビの生息場所利用の行動パターンを研究、今日の修士論文発表は無事終了(写真1)。和田君、お疲れ様でした。ところで、ホッカイエビは昼型・夜型どっちでしょう?詳細は当研究室へ!

写真1 雪の回廊

2008年2月24日

一夜あけると

 玄関から外へ出ることができませんでした。まずは「雪かき(snow shoveling)!」です。
 昨夜から今日にかけて、東日本、北日本は強風が吹き荒れています。先ほどニュースでも言っていましたが、東京でも風速20 m以上に達したそうです。天気図を見ると台風みたいなのが太平洋上にあります。西高東低の冬型気圧配置、たくさん雪が降りました。
 雪で埋まった玄関を掘り出し、車を掘り出し、大学にたどり着くと回廊が雪化粧です(写真1)。校舎の中庭もご覧のとおりです(写真2)。研究室に入ると、明日の修士論文発表を控えた和田君がバリバリ準備をしていました(写真3)。おーっ。
 がんばれ和田君!

写真2 雪と校舎 写真3 がんばる和田君
写真1 流氷の砂浜海岸
写真2 波打ち際

2008年2月12日

謎の沼

 北海道オホーツク海側沿岸は「海跡湖銀座」と呼ばれるほど、大小の沿岸海跡湖があります。網走周辺にも大小10近くあります。
 この中で斜里(しゃり)に近い止別(やんべつ)には「ニクル沼」と「涛釣(とうつる)沼」という海跡湖があります。約7000年前は海水の影響を受けていましたがその後は淡水化し、広がる湿原の中に佇んでいました。
 その後、開拓が進み農地が整備されると地下水位が低下して、明治時代には735haあった涛釣沼は現在49haで1/15になりました。沼とともに周辺の湿原も小さくなりました。それでも水辺にはまだ湿原があるので、数多くの鳥の休み場になっているようです。
 2006年9月の記事でも紹介しましたが、沿岸海跡湖や砂浜、汽水域など「陸と海が出会うところ」に私は興味があります。さて、涛釣沼ですが、夏に海への流出水路は確認したものの、まだその姿を見たことがありません。凍っているはずですが、逆に言うと夏よりアプローチしやすいはずだ、ということで海岸をスキーシューで歩いて沼を目指しました(写真1)。
 波打ち際には流氷が上陸(写真2)、砂浜は雪で覆われ、その下の砂は凍っています(写真3)。砂浜にも多くの生物がいますが、この時期はいったい?極めて素朴な疑問に捉われ浜を行ったり来たりするうちに、日没が近づき(写真4)沼へのアプローチを断念。ああ、またか…。ところで、JR止別駅食堂のラーメンはなまらうまい、らしいですが私はまだ食べたことがなく、したがって沼もラーメンも私にはまだ謎です。

写真3 雪の下の砂浜 写真4 ああ日没
写真1 こまば木の広場から見た流氷

2008年1月29日

丘の街

 流氷が来ました。

 写真1は、網走の駒場地区といって、大型?店舗が立ち並ぶ賑やかな場所のすぐ裏手にある「こまば木の広場」という森林公園から眺めた風景です。先週は海原が広がっていましたが、今は流氷でぎっしりと埋まっています。
 この森林公園は丘の上にあり、公園の端っこは崖になっていて、そのすぐ下は海岸、オホーツク海です。駒場地区の市街地は公園がある丘の上に広がっています。網走は「丘の街」です。網走川が流れている場所がベースで、そこから何段も丘が積み重なっています。一方、海底に入っていくと、ここにもなだらかで広い丘の台地があります。そこはホタテガイ、ケガニをはじめとするオホーツク海のみなさんの住みかになっています。
 このような特徴ある風景、自然、そして歴史がある網走は数多くの映画の舞台にもなっています。みなさんは見たことがありますか。私は「男はつらいよ」の寅さんシリーズ第11作での、網走川沿いの船着き場で、寅さんとリリーが語り合うシーンが印象に残っています。

写真2 鱒浦漁港 写真3 広場の夕暮れ
写真1 海岸を覆う流氷(飯田剛史撮影)
写真2 チャシコツ調査中
写真3 干出する貝

2008年1月24日

同じ種でも中身は違う?

 日本の人は「網走」と聞くと、口々に「寒い寒い」とみな同じことを言います。さらには、寒い=辛い、暗い、だから面白くない、というようなネガティブなイメージを持っている人も結構多いようです。でもそれは、浅はかな思い込みかもしれません。
 実際に住んでみると、この寒さも大した苦ではないものです。むしろ「異常に暑い」と言いながら大都会で生活するよりは、着込めば良いだけ、寒いほうがマシかもしれません。少なくとも、一生、寒い=面白くないと思い込んだまま人生を終えるのなら、それはちょっと寂しい気がします。
 寒い=面白いことは多々あるのですが、水産増殖学的に面白い話を少々。網走の1月は、海氷の季節でもあります。この季節、我々の研究フィールドである潮間帯(海と陸の間)はしばしば凍結します。しかし、その氷の下にはベントス(貝類や甲殻類)がしっかり生きています。驚くべきことは、その中には亜熱帯にまで生息している種もいます。形態はもちろん、成長期間が違うであろうに、大きさまで、北と南に大した差はありません。
 貝や甲殻類は変温動物ですから、外気温、水温で体温が変化してしまいます。寒ければ当然動きは鈍ります。しかし、生息場所が潮間帯であれば、ヘビやカエルのように冬眠するわけにも行かないようです。では、亜熱帯にまで分布しているような貝は、どうやってこの厳しい寒さを乗り切っているのでしょうか?常夏の海岸で生息している貝を、真冬の網走に連れてきても、ちゃんと生き残るでしょうか?
 今回ここで話したことは、表現型可塑性、あるいは局所適応という進化生態学の分野に関係してくる問題です。では、進化が水産増殖にどう関係あるのか? 関係は大いにあります。たとえば、これは移植放流の問題に発展していきます。つまり、南で育てた稚魚などを、北に放して果たして効率的に増殖するでしょうか? 我々は無駄な水産増殖を行っていないでしょうか? ひょっとしたら、移植先で遺伝的な撹乱さえ起こしかねません。水産物といえ生物に変わりがありません。つまり、水産物も進化の産物です。このことを気にしている水産学者は、日本はもとより、世界中でもまだ多くありません。
 東京農大の水産増殖学研究室は世界の最先端を行っています! と言ってしまって自らプレッシャーを与えることにします。研究室のみなさん、頑張って行きましょう!!

写真1 シジミいろいろ
写真2 砂浜で海と湖が隔てられる
写真3 沿岸海跡湖

2008年1月12日

大シジミ

 日本列島にはもともと5種のシジミが住んでいます。
  ヤマトシジミ Corbicula japonica
  セタシジミ Corbicula sandai
  マシジミ Corbicula leana
  ヤエヤマヒルギシジミ Geloina erosa
  リュウキュウヒルギシジミ Geloina expansa

 ヤマトシジミの学名がアメリカの貝類学者Temple Primeによって命名されたのは1864年、今から144年前のことです。その後、1938年に発表された論文で日本貝類学会初代会長の黒田徳米博士は日本産シジミ類として15種類をあげ、分類学的検討を行なっています。しかし、その後シジミ類の遺伝情報などに関する研究成果により、Corbicula属3種、Geloina属2種の計5種であることがあきらかにされています。シジミは地方や環境による貝殻の形や色の変異が大きく、そのことが黒田博士を悩ませた原因だったと思います。

 ところで、写真1を見てください。貝が置いてある台のマス目は1cmです。右上のシジミは殻の長さ(横方向)が6cm近くもあります。一方、左上の黒いシジミ、だいたい2cm少しで、一般的みそ汁サイズくらい、左下の黄色のシジミも同じくらいのサイズです。右と左ではずいぶんサイズが違うと思いませんか。

 生物の成長は、体外の環境条件と体内の成長プログラムとの相互作用で生物体の物質量が増加することです。同じ種でも大きなのもいれば小さなのもいるし、縦長だったり、横長だったり、扁平だったりと色々なバリエーションが生まれます。しかし、住んでいる場所によって顕著な違いがある場合は、なぜそのような違いが生まれるのかは、非常に興味深い問題です。

 先に挙げた5種のうち、ヤマトシジミは海と川が出会う汽水域に住んでおり、サハリンから九州まで広い範囲に分布しています。セタシジミは琵琶湖水系の固有種、マシジミは内陸の小川などの淡水域に住んでいます。ヒルギシジミは南のマングローブが生えている所にいます。実は写真1には2種類のシジミが写っており、そのうち1種(黄色のシジミ)は外来種と思われます。近年の問題は、このような外来シジミの侵入と分布拡大です。

 たかがシジミと人は言うが、されどシジミ。ヤマトシジミがいるところには豊かな汽水域があります。今後、形態や成長などの地域差をはじめ、様々な研究テーマに取り組んでいく予定です。ところで、写真2は砂浜を境に左が海、右が湖でヤマトシジミが住めるような汽水湖、沿岸海跡湖です。写真3はその沿岸海跡湖を砂浜から見たところです。明日の朝はシジミのみそ汁を味わってみませんか?


写真1 小樽運河
写真2 榎本武揚
写真3 小樽市街

2008年1月4日

新年の発見

 新たな年を迎えました。

 お正月は大学も休みです。教職員も学生もそれぞれの冬季休暇をとります。もちろん、大学には越冬隊もいて卒論や修論の追い込み、北海道の冬を満喫、帰省するお金がない…、切っても切っても襲いかかってくる雑用とまた戦う…など、人それぞれに色々あります。

 小樽に帰省してきました。元日に街を散歩しました。写真1は小樽運河の眺めです。小樽は札幌から快速電車で約30分の北海道を代表する港町の一つです。大正から昭和のはじめ、小樽は北海道最大の物流の拠点、商業都市として人・物・金が集中した時代がありました。

 小樽の街にはその時代の建物等がたくさん残って観光資源になっており、運河もその一つです。ところでアーケード街を歩いていると写真2のような垂れ幕?が目に入りました。榎本武揚です。榎本武揚は東京農大の創始者ですが、小樽とどういう縁があるのでしょうか?

 調べてみると、榎本は函館戦争に敗れた後、北海道開拓使を務めましたが、その時に小樽の街並みの基本をつくる仕事をしていました。また石炭積み出し港としての重要性を説き、北海道初の鉄道敷設につなげました。写真3は、小樽天狗山(532.4m)から眺めた、榎本が街づくりに関わった小樽の街並みです。前方の海は石狩湾、日本海です。小樽港は各地を結ぶフェリーの拠点でもあり(舞鶴・新潟など)、かつてはサハリン・樺太との定期航路もありました。

 今年は、榎本武揚(1836〜1908)没後100年を記念する事業が各地で開催されるようです。ここ網走でもあります。思いがけず、榎本の北海道開拓にかける情熱に思いをはせた新年のはじまりでした。

 みなさま、今年もどうかよろしくお願いいたします。


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 所属教員と研究テーマ

水野 眞 教授 e-mail:

【専門分野】

珪藻類の生物学

【現在取り組んでいる主な研究課題と内容】

珪藻類の系統進化


千葉 晋 准教授 e-mail:

【専門分野】

進化生態学、水産学

【現在取り組んでいる主な研究課題と内容】

崩壊することのない持続的な漁業に貢献したいと思っています。特に関心をもって調べていることは、進化から考える水産資源(魚介類)の管理です。自然生態系の一部としての「漁業」を考えます。その他には知床・網走の海岸の生物相や、貝類・甲殻類の生物史や行動なども調べています。


園田 武 講師 e-mail:  個人ホームページ

【専門分野】

水産生態学、保全生物学、汽水生物学、インパクト・アセスメント

【現在取り組んでいる主な研究課題と内容】

オホーツクキャンパスのある網走周辺は、数多くの沿岸海跡湖や大小の河川があり、それらは沿岸域生態系の大切な構成要素であると共に、地域水産業を支える重要な漁場にもなっています。こうした漁場環境において持続的な漁業生産を確保し、水産資源の増殖を図るためには、まず漁場となっている水界生態系、水界生物群集の構造と機能を解明するための基礎的研究が必要です。そして、生態系と生物群集の定期的な健康診断を実施し、その健康が維持されるような知恵と協働作業が望まれます。「健康な漁場環境こそが、おいしく安全な魚介類を育てる」、この様な生態系保全型漁業の確立のために、下記のようなテーマを設定して研究を進めています。

1)沿岸性ならびに汽水性魚介類の生態学的・自然史学的研究

2)沿岸増養殖漁場の環境保全と生物モニタリングに関する研究

3)沿岸域の生態系定量評価手法に関する研究

4)漁業活動、または人為的環境改変事業が水界生態系に及ぼすインパクトの定量評価

5)河川流域生態系および沿岸域生態系の連関に関する研究




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 卒業研究のテーマ
  • オホーツク沿岸に生息する珪藻の分類と進化

  • 培養法による珪藻の生理生態学的研究

  • 能取湖のマクロベントス群集構造と環境特性:湖口開削後30年間の漁場環境変化の研究

  • 網走湖・網走川河口域におけるヤマトシジミの産卵の時空間的パターンに関する研究

  • 漁獲に起因するホッカイエビの生活史変異

  • 貝類の遺伝形質にみられる緯度間変異 〜なぜ、オホーツクの貝類は凍死しないのか?〜


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